居抜き物件退去時の“原状回復”について

2018年12月18日

空きテナント1

居抜き物件で飲食店を経営していたにも関わらず、やむを得ない事情で退去しなくてはいけないケースは多いです。

そんな居抜き物件からの退去の際、ほとんどの契約では入居者による“原状回復”を行う必要があります。

 

今回は、居抜き物件の退去における原状回復について徹底解説します。

 

 

○居抜き物件から退去する際の“原状回復”って何?

 

物件を契約する場合、入居者は退去時に物件の床や壁、内装や設備などをすべて工事・撤去し、物件を借りたときの状態に戻さなければいけないケースが多いです。

この作業を原状回復といいます。

 

居抜き物件を退去する際の原状回復は、“居抜き物件を借りたときの状態に戻す”と考えている方が多いですが、それは間違いです。

確かに自身が入居した際は、すでに前店舗の内装や設備が存在していたかもしれませんが、この場合はあくまで前店舗の入居者から物件を“引き継いだ”という扱いになります。

 

したがって居抜き物件を退去する際の原状回復では、前店舗の入居者が残した内装や設備も併せて撤去し、スケルトン状態にするのが一般的です

原状回復の義務がある居抜き物件を借りる際は、事前にそこまで視野に入れておく必要があると言えるでしょう。

 

ただ前店舗の入居者が残した内装や設備は撤去しなくてもいいと契約で定められている場合も稀にあるので、そこは退去の際にしっかり契約内容を確認してください。

 

 

○居抜き物件から退去する際の原状回復コストを減らすには?

 

居抜き物件から退去する際の原状回復コストは、どうやったら抑えられるのでしょうか?

 

もし契約内容に原状回復の義務が定められていなければ、居抜きで他の入居者に引き継ぐという方法を選択できます。

前店舗の入居者から居抜きで物件を借りたときのように、自身も次の入居者に内装や設備を残したまま、物件を引き継ぐのです。

内装や設備の工事・撤去をする必要がないため、大幅に退去時のコストを削減できます。

 

またコストを削減できるばかりか、内装や設備を買い取ってもらい、造作譲渡金で利益を上げられる可能性もあります。

居抜きで他の入居者に物件を引き継ぐ場合は、物件のオーナーと自分自身、新しい入居者すべてが契約に合意する必要があります。

 

 

○居抜き物件から退去する前にやっておくべき原状回復対策はある?

 

居抜き物件から退去する際、原状回復で入居者とオーナーがトラブルを起こすというケースは多いです。

では居抜き物件から退去する前に、実践すべき原状回復対策はあるのでしょうか?

 

居抜き物件に入居する時点で実践すべきなのは、契約内容に“特約事項”を盛り込んでもらうことでしょう。

 

例えば、“物件のオーナーが認めた場合は規定の限りではない”という特約事項を盛り込んでもらえば、居抜き物件の退去時にオーナーに理解してもらうことで、原状回復をしなくて済むかもしれません。

もちろんこの特約事項を盛り込んでもらうために、入居者側もオーナーからの要望を受け入れなければいけないことはあるでしょう。

 

この特約事項は、居抜きで他の入居者に引き継ぐことを想定して契約をする場合(元々原状回復義務がある物件の場合)、非常に便利です。

 

また単純に、日頃から物件のオーナーと良好な関係を築いておくことも重要でしょう

飲食店であれば店舗に招待したり、季節ごとの挨拶をしたりという行動は欠かさないようにしましょう。

 

オーナーからの信頼があれば、居抜き物件の退去時に少しでも相談に応じてくれるでしょう。

 

 

○まとめ

 

居抜き物件に入居する際にはさまざまな手続きがありますが、より煩雑化する可能性があるのは退去時でしょう。

煩雑化する原因には単純な退去手続きに関することだけでなく、オーナーとのトラブルへの対応に関することも含まれます。

 

居抜き物件の退去時のことまで視野に入れて契約するのは容易ではありませんが、早い段階から考えて手を打っておく方が賢明でしょう。