“減価償却”と“耐用年数”は抑えておこう

2018年12月26日

店舗②

居抜きで飲食店を開業させる際、必ず必要になるのが“減価償却”、そして“耐用年数”における知識です。

飲食店を開業させるまでの費用は時に予想よりも大きくなる場合もあり、見過ごすことはできません。

 

今回は居抜きで飲食店を開業させる際に、必ず知っておくべき減価償却と耐用年数について解説します。

 

 

○居抜きで飲食店を開業させるなら知っておくべき!減価償却と耐用年数

 

減価償却とは、簡単に言うとその物件の取得や工事においてかかった費用を、複数年に分けて計上することを言います。

 

居抜きで飲食店を開業させる際、細かい工事をいくつも行って数百万円の費用がかかってしまったとします。

居抜きで飲食店を開業させることでコストが削減できるとは言え、この数百万円の費用をすべてその年の経費にしてしまうと、大きな赤字を抱えた状態からスタートすることになってしまいます。

 

減価償却を行うことで、数百万円の費用は複数年に渡って計上できるようになるため、1年あたりの負担が減り、大きな赤字を抱えてスタートする必要がなくなります。

 

ただこの減価償却は、自由に複数年に分けて実践できるわけではありません。

償却期間は物件の構造などによって定められており、その期間にしたがって減価償却を行います。

 

この物件によって定められている償却期間が“耐用年数”です。

 

ちなみに物件そのものだけでなく、居抜き物件における設備も減価償却の対象となり、それぞれ耐用年数が定められています。

 

 

○居抜きで飲食店を開業させるなら知っておくべき!細かい耐用年数を知っておこう

 

居抜きで飲食店を開業させるにあたって、減価償却が重要な作業だということは、少し理解して頂けたかと思います。

 

では今度は、各物件(飲食店用)の構造の細かい耐用年数を知っておきましょう。

 

・物件における耐用年数

木造・合成樹脂造:20年

木骨モルタル造:19年

鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造:34年

ブロック造:38年

 

居抜きで飲食店を開業させる際、物件の減価償却に利用する耐用年数には、上記のものが挙げられます。

 

この他で言うと金属造の物件が挙げられますが、金属造の物件(飲食店用)は骨格材の肉厚が4mm以上であれば耐用年数は31年、3mm以上4mm以下であれば25年、3mm以下であれば19年ととても細かく定められています。

また先ほど、居抜き物件における設備も減価償却の対象になるという話をしました。

 

設備の耐用年数もチェックしておきましょう。

 

・設備における耐用年数

アーケード、日除け設備:金属製15年、その他8年

店舗簡易装備:3年

電気設備(照明含む):蓄電池電源装備6年、その他15年

給排水設備、衛生設備、ガス設備:15年

 

 

○居抜き物件での減価償却で注意しておくことは?

 

物件の構造や設備ごとの耐用年数を解説しましたが、居抜き物件では、すでに耐用年数が何年か経過しているということが考えられます。

 

例えば木造・合成樹脂造の居抜き物件で飲食店を開業させる場合で、すでにその物件の耐用年数が10年経過しているとします。

このケースでは、まず木造・合成樹脂造の物件の耐用年数である20年から10年を引き、さらに10年の20%である2年を足すことで、正しい耐用年数が弾き出せます。

 

つまり上記の居抜き物件の場合では、耐用年数を12年として減価償却をしなければいけないということです。

 

物件だけでなく、もちろん居抜き物件の設備における減価償却の際も、経過している年数を考慮しなければいけないことを忘れないようにしましょう。

 

 

○まとめ

 

居抜きで飲食店を開業させる方の中には、できるだけ開業のコストを抑えたいと考える方も多いでしょう。

 

ただお得な居抜き物件と契約できたからと言って、減価償却を適切に行わないことには、なかなか黒字経営の状態まで持っていくのは難しいと言えます。

 

契約の際には物件、各設備の耐用年数を細かくチェックし、減価償却によってどれくらいコストが抑えられるのかシミュレーションしておくことも大切です。