飲食店において重要な景品表示法について

2019年09月17日

法律①

飲食店に関する法律には、食品衛生法や風営法、消防法などさまざまなものがあります。
また、今回解説する“景品表示法”も、飲食店において重要な法律の1つです。
これから飲食店を開業するのであれば、この景品表示法という法律がどんな法律なのかについて、必ず把握しておきましょう。


〇飲食店において重要な景品表示法とは?

 

飲食店において重要な景品表示法とは、提供する商品またはサービスの価格、品質を偽って表示するなど、顧客の誤認を生むような行為を制限、禁止している法律のことを言います。
飲食店において、コストを最小限に抑えながら売上を伸ばすということは、とても重要なことです。
ただ、コストを抑えながら売上を伸ばすことに意識を集中させすぎるあまり、飲食店が景品表示法に違反してしまうというケースは少なくありません。
もちろん、故意に違反することはもっての外であり、たとえ顧客を騙すつもりがなくとも、誤認を生むことになってしまえば、その行動は景品表示法違反にあたります。

 

〇飲食店が景品表示法に違反するとどうなる?


飲食店が景品表示法に違反した場合、消費者庁から“課徴金”の支払いが命じられます。
課徴金とは、簡単に言えば罰金のようなものであり、これは刑罰でなく行政処分という扱いになるため、裁判所の判決なく発動されます。
支払う金額については、違反した商品、またはサービスによって得た売上の3%とされており、違反から3年間を上限にさかのぼって課徴されます。
ただ、自ら違反していることを申し出た飲食店は、課徴金額を半額にまで減額してもらうことができます。
また、この課徴金の支払いが命じられた際、飲食店には弁明の機会が与えられます。
つまり、「景品表示法に違反していることを知らなかった」という主張ができるということです。
この主張によって、消費者庁に言い分を認められた場合は、課徴金を支払う必要がありませんが、消費者庁は課徴金の支払い命令に至るまで、数々の調査を行っているため、「知らなかった」という主張はなかなか通らないことが予想されます。

 

〇飲食店では、どんな表示が景品表示法違反にあたる?

 

では、飲食店は、一体どんな表示をしたら景品表示法違反になってしまうのでしょうか?
具体的には、以下のような表示が景品表示法違反に該当します。

 

①優良誤認
顧客に対して、実際のものよりも良いものだと表示すること、または事実に相違して、類似商品、類似サービスよりも良いものだと表示することを“優良誤認”と言います。
例えば、“牛100%”と表示しているにも関わらず、実際は豚をミックスさせていた場合や、“国産和牛”と表示しているにも関わらず、豪州産の牛肉を使用していた場合などが該当します。
また、メニューには大盛りに見える写真が掲載されているにも関わらず、実際は明らかに少ない量が提供されるといった場合も、違反の対象となることがあります。

 

②有利誤認
顧客に対して、商品やサービスの価格などが、実際よりも安いと誤認させることを“有利誤認”と言います。
例えば、“今だけのお得なセール”といった表示が、長期間に渡って表示され続けているような状況などが当てはまります。
また、安い商品やサービスにように表示しておいて、実際は他にも費用がかかるような場合もこれに該当します。

③不実証広告
何の根拠もない効果、性能などを表示することを“不実証広告”といい、これも課徴金の支払い対象になります。

 

〇まとめ

 

ここまで、飲食店において重要な法律である“景品表示法”について解説してきました。
これから飲食店を開業する方は、売上の増加を突き詰めすぎて、景品表示法に引っかからないように注意しましょう。
また、景品表示法に違反すると、たとえ故意でなくとも課徴金の対象になってしまう可能性があるため、できるだけ多く違反のパターンを知っておくことも重要です。