飲食店が入っておきたい3種類の保険

2019年09月23日

チェック1

飲食店の開業前には、資金調達や物件探し、内装・外装工事や各種届出など、さまざまな準備をしなければいけません。
ただ、そんな多忙な開業前でも、必ずやっておきたいのが、飲食店が入っておくべき保険への加入です。
今回は、飲食店が開業前に入っておきたい3種類の保険について、具体的に解説します。


〇飲食店が入っておきたい保険①施設賠償責任保険

 

施設賠償責任保険とは、経営している飲食店が、来客や飲食店周辺の通行人等に怪我を負わせた場合などに生じる賠償金額を補償してくれる保険のことを言います。
例えば、料理を提供する際に誤ってこぼしてしまい、来客に火傷を負わせてしまった場合や、店舗の看板が何かしらの理由で落下してしまい、通行人がケガをしてしまった場合などに、飲食店が負担する賠償金額は、この保険に入ることで補償されます。
ちなみに、料理を来客にこぼしてしまったケースでは、火傷に対する賠償金額だけでなく、服を汚してしまったこと(財産を毀損させたこと)に対しての賠償金額も補償の対象になります。
ただ、施設賠償責任保険に入れるのは、その飲食店のオーナー、もしくは従業員といった、飲食店の業務に実際参加している方のみです。
したがって、飲食店関係者であっても、業務に参加していない第三者が、その飲食店に施設賠償責任保険をかけることはできません。

 

〇飲食店が入っておきたい保険②借家人賠償責任保険

 

借家人賠償責任保険とは、飲食店で起こった火災によって、その物件の貸主の財産を焼損させてしまった場合に生じる賠償金額を補償してくれる保険のことを言います。
分かりやすく言うと、“対象が貸主限定の火災保険”ですね。
自身が所有する建物で飲食店を経営するのであれば、自身の財産を守るための火災保険に加入するだけで済みますが、物件を借りて飲食店を経営する場合、そうはいきません。
また、借家人賠償責任保険は、単独で入る保険ではなく、あくまで飲食店の経営者(物件の借主)が加入している火災保険のオプションです。
最悪、開業時に入り損ねた場合でも、途中でオプションとして追加することは可能ですが、できれば開業前に入っておくことをおすすめします。

 

〇飲食店が入っておきたい保険③食中毒保険

 

食中毒保険とは、その名の通り、飲食店で食中毒を起こしてしまったときに、被害者に支払う金銭を補償してくれる保険のことを言います。
また、この保険の特徴は、食中毒を起こすことによって発生する賠償金額だけでなく、被害者の治療費や、見舞金、見舞品の購入費なども補償してくれるという点です。
もっと言えば、慰謝料や食中毒の原因調査費、裁判になった際の弁護士費用、和解に必要な費用なども補償してくれる、とても手厚い保険です。
補償金額としては、年間3,000円程度の掛け金で、食中毒の被害者1人につき最大5,000万円程度までの金額を補償してくれます。
飲食店で食中毒が起こると、たとえ被害に遭った方が数人程度だとしても、数百万円単位の費用がかかります。
また、飲食店における食中毒の発生は、金銭的なダメージだけでなく、信頼性の低下というもっと大きなダメージにも繋がります。
食中毒を起こしたことで信頼性が下がり、そのまま閉店に追い込まれたというケースも少なくありません。
したがって、少ない掛け金で大きな安心を手に入れられる食中毒保険は、必ず飲食店の開業前に入っておきましょう。

 

〇まとめ

 

ここまで、飲食店が開業前に入っておきたい3種類の保険について解説しました。
飲食店において、急に支出がかさんでしまうということは、とても大きなダメージとなります。
したがって、万が一飲食店において、他人の身体や財産、貸主の財産に傷を付けてしまうことがあったとしても、飲食店の経営状況を維持できるような体制を取っておくべきです。
保険の加入についての意識が薄いと、後々痛い目を見ることになるでしょう。