店舗の災害や経営者の病気への備えとは?

2019年09月28日

災害

飲食店の経営において、店舗の災害、または経営者の病気は、なかなか避けることが難しいトラブルです。
したがって、飲食店の経営者は、これらのトラブルに対する備えを万全にしておく必要があります。
今回は、店舗の災害、経営者の病気への備えとなる、2つの保険について解説します。


〇店舗の災害への備えとなる保険とは?

 

店舗の災害への備えとなる保険に、“休業損害補償”というものがあります。
これは、飲食店の経営者が加入する火災保険のオプションとして加入できるものであり、店舗が以下のような災害によって休業を余儀なくされた場合に、発生した損害を補償してくれます。

・火災
・落雷
・水害
・爆発、破裂
・風災、雪災、雹
・給排水設備に起こった事故が原因の水漏れ
・建物への物体の落下、衝突、飛来
・飛行機の墜落、車の衝突
・食中毒、感染症
・市民の暴動による破壊 など

損害保険会社によって、多少補償内容にはバラつきがあるものの、概ねこれらが原因の休業によって生じた損害は補償してもらえます。
ちなみに、休業損害補償の多くは、“地震”、“噴火”、“津波”という3つの自然災害を補償の対象としていません。
なぜかと言うと、これらの自然災害は非常に被害範囲が広くなることが多く、その被害をすべて保険会社が請け負うと、負担する金額が膨大になってしまうためです。
また、以下の場合も、休業損害補償の対象にはならないため、覚えておきましょう。

・台風に伴う自宅待機命令で客足が途絶えたことが原因の休業によって生じた損害
・土砂崩れによって近くの道路が断絶したことが原因の休業によって生じた損害
・大雪による配送の遅れで食材が届かなかったことが原因の休業によって生じた損害

上記は、直接店舗が災害に遭ったわけではないため、補償対象にはなりません。

 

〇経営者の病気への備えとなる保険とは?

 

一方、経営者の病気への備えとなる保険には、“所得補償保険”というものがあります。
会社員として働く方は、病気や怪我で会社を休むことになったとしても、有給休暇という形で給料を受け取ることができます。
ただ、飲食店の経営者は、そのような待遇を受けられません。
突然体調を崩したり、怪我をしたりした場合は、一度店舗を休業する必要があり、それまでに購入した食材は当然無駄になりますし、なにしろその間は一切利益を得ることができません。
そのような不安を解消してくれるのが、この所得補償保険です。
この保険では、月々の掛け金を増やせば増やすほど、月々の補償額が多くなります。
また、店舗で就業中の怪我以外も補償の対象になり、さらには、休業損害補償では対象外になることの多い地震、津波などの自然災害による怪我でも補償してくれます。

 

〇2つの保険の大きな違い

 

店舗の災害への備えとなる休業損害補償、そして経営者の病気への備えとなる所得補償保険には、とても大きな違いがあります。
それは、所得休業保険が、掛金に応じた額を補償されるのに対し、休業損害補償が、店舗の売上に応じた額を補償されるという点です。
もっと簡潔に言うと、所得休業保険は、お金を払えば払うほど多くの補償が受けられる保険ですが、休業損害補償はそうではないということです。
休業損害補償によって補償される金額は、“粗利益”相当です。
粗利益とは、店舗の売上高から商品の仕入高、原材料費を差し引いたものであり、細かく言うと、年間の粗利益の額を年間営業日で割った額を、1日あたりの補償額として受け取ることができます。

 

〇まとめ

 

ここまで、店舗の災害、経営者の病気への備えとなる、2つの保険について解説してきました。
冒頭でも触れたように、店舗の災害や経営者の病気、怪我は、避けようと思ってもなかなか避けられません。
また、休業が生活に大きな影響を与える小規模の飲食店では、今回解説したような備えがないと、すぐに閉店に追い込まれる可能性もあるため、備えを用意することは重要です。