自己資金ゼロで飲食店は開業できるのか

2019年11月12日

自己資金

飲食店を開業する場合、多くの方は事前にある程度貯蓄をし、自己資金と借入金の両方を利用します。
では、自己資金がまったくない方は、果たして飲食店を開業することができるのでしょうか?
できるだけ細かく解説しますので、興味がある方はぜひ参考にしてください。

 

〇自己資金ゼロってどんな状態?

 

そもそも、自己資金ゼロとは、一体どのような状態のことを指すのでしょうか?
飲食店の開業にかかるコストは、主に2種類に分けられます。
1つは、“開業前に必要になるコスト”です。
これには、物件取得費や内装工事費、厨房設備やテーブル、イス、食器や調理器具等の購入費用などが挙げられます。
そして、もう1つは、“開業したら必要になるコスト”です。
これには、人件費や食材などの原材料費が該当します。
自己資金ゼロとは、飲食店の開業前、開業後に必要なこれらのコストを負担するための自己資金、つまり貯蓄がまったくない状態のことを指します。

 

〇自己資金ゼロで飲食店の開業は可能?

 

結論から言うと、自己資金ゼロで飲食店を開業するのは、かなり難しいと言えるでしょう。
飲食店における代表的な開業資金の融資先には、“日本政策金融公庫”が挙げられますが、公庫ですら、融資を受けるには自己資金を10%用意しなければいけません。
地方銀行や信用金庫の制度融資を受けたり、創業補助金制度を利用したりと、他にも開業資金を調達できる方法はありますが、どれも自己資金ゼロでは難しいです。
また、たまにウェブサイトなどで、他人から一時的にお金を借り、自身の銀行口座に入れて、自己資金があることをアピールするという方法が紹介されていますが、これは絶対にやってはいけません。
日本政策金融公庫の担当者から、口座に入っているお金がどこから発生したものなのか、必ず質問されるためです。
誰かから借りたものなのであれば、当然借用書が必要になりますし、自宅にあったお金を入金したと主張しても、証拠がなければほとんどの場合信用してもらえません。

 

〇自己資金ゼロも融資は受けられるのか?

 

先ほど、自己資金ゼロでは融資を受けるのが難しく、必然的に飲食店を開業するのも難しくなるという話をしました。
ただ、自己資金ゼロでも、融資が受けられる可能性はあります。
具体的には、飲食店を法人にし、オーナーが代表を務め、その他の人物を社員もしくは取締役の共同経営者にするという方法であれば、おそらく融資は受けられるでしょう。
このような形での飲食店開業の場合、共同経営者がスポンサーとして資金を負担したとして、日本政策金融公庫に納得してもらえる可能性が高いためです。
また、飲食店を開業し、利益が出てきたタイミングで出資分の株式を買い取れば、100%自身の飲食店にすることも可能です。

 

〇自己資金はどれくらい用意するべきなのか?

 

自己資金ゼロでも、融資を受け、飲食店を開業できる可能性はわずかにありますが、やはりある程度は自己資金を用意しておく方が、スムーズに開業できるでしょう。
ただ、低金利の昨今ですから、時間をかけて多額の自己資金を用意するよりかは、無理のない範囲で借入をして、飲食店を開業することをおすすめします。
「借入額が少ない方が、失敗したときのリスクが小さいのでは?」と思う方もいるでしょう。
もちろん、それは事実なのですが、リスクヘッジのことを優先しすぎると、いつまで経っても飲食店が開業できず、条件の良い物件を逃してしまう可能性も高くなります。

 

〇まとめ

 

自己資金ゼロでの飲食店開業は、非常にハードルが高いです。
100%無理なわけではありませんが、融資の選択肢はかなり狭まりますし、もちろん実践できない場合もあります。
ただ、自己資金ゼロでの飲食店開業が難しいことは事実ですが、逆に借入額を少なくして、自己資金で開業することを考えすぎると、チャンスロスが生まれる可能性があるため、注意が必要です。