コロナに苦しむ飲食店の賃料交渉術

2020年06月09日

交渉

新型コロナウイルスの影響を受け、売上が大きく下がった飲食店にも、これまでと同じようにランニングコストを支払う機会はやってきます。
また、そんな飲食店にぜひ実践してもらいたいのが、賃貸物件のオーナーへの賃料交渉です。
今回は、具体的にどのような方法で賃料交渉をするべきなのかについて解説します。


○オーナーへの連絡の仕方について

 

コロナに苦しむ飲食店が賃料交渉をする際は、まずオーナーに電話で連絡することから始めます。
また、その際には、「緊急で相談したいことがある」という旨だけを伝え、相談内容に関しては具体的に伝えないようにしましょう。
なぜなら、こうすることで、オーナーが賃貸交渉に応じてくれる可能性が高まるからです。
“緊急の相談”と聞いたオーナーは、さまざまなことを考えます。
状況が状況のため、「退去したい」と言われる可能性についても、もちろん考えるでしょう。
つまり、直接会ったときに初めて「賃料を値下げしてもらいたい」と伝えることで、オーナーは「退去じゃなくて良かった」と思える分、心に余裕が生まれ、賃料交渉には応じてくれやすくなるというわけです。

 

○賃料交渉の仕方について

 

先ほど解説した方法で連絡・相談すれば、オーナーは飲食店の賃料交渉に応じてくれやすくなりますが、それももちろん100%ではありません。
今後の経営が不透明だということに関しては、賃貸物件のオーナーも同じであるからです。
したがって、漠然と「値下げしてほしい」という風に伝えるのではなく、数値を交えながら飲食店の原状を事細かに説明し、以下のいずれかの方法で賃料を値下げしてもらえないか打診することをおすすめします。

①単純な賃料の減額(現在の賃料の〇%、〇円の削減)
②期間限定の賃料減額(〇ヶ月限定で現在の賃料の〇%を削減)

また、もし上記の方法での賃料値下げに応じてもらえなかった場合は、敷金や保証金の一部返金を打診することも考えましょう。
一時的に資金を確保できるという意味では、この方法も非常に効果的だと言えます。

 

○オーナーからは早めに答えをもらおう

 

飲食店がオーナーに対して賃料交渉をしても、その日のうちに結果が出ないことはよくあります。
「1度持ち帰らせてほしい」と言われるケースですね。
ただ、もしそのような状況になったとしても、飲食店はひたすら答えを待つようなことをせず、早めに回答してもらえるよう、念を押しておきましょう。
その理由には、もちろん飲食店が早くランニングコストを削減しなければいけないことも挙げられますが、あまりに返答が来ない場合、良い結果には繋がらないことが多いのも理由の1つです。
具体的には、相談してから2週間以内には、何らかの回答を受領しておきたいところですね。
また、飲食店の賃料交渉に応じてもらえた場合、口約束ではなく書面(覚書など)を交わしておくことも忘れてはいけません。

 

○言葉を選んで交渉するのも重要

 

飲食店が賃料交渉をする場合、一方的に意見を押し付けたり、「とにかく早く値下げしてほしい」といったように、言葉を選ばずに交渉したりするのは控えましょう。
先ほども触れたように、経営が難航しているのは、賃貸物件のオーナーも同じです。
そのため、オーナーの気持ちもしっかり推し量らなければいけません。
また、強引な方法で賃料交渉に応じてもらえたとしても、交渉を機会に関係性が悪くなってしまったら、後々トラブルが発生する可能性も高くなってしまいます。

 

○まとめ

 

ここまで、コロナに苦しむ飲食店にぜひ実践していただきたい、賃料交渉の具体的な方法について解説してきました。
現時点で、「売上を増やす」ということはなかなか難しいですから、とりあえずコロナが完全に収束するまでは、「支出を減らす」というスタンスを貫くことをおすすめします。
また、もちろん支出は賃料だけではないため、その他のランニングコストの削減にも着手しましょう。