飲食店のセントラルキッチン導入について

2020年11月17日

セントラルキッチン

複数の飲食店を経営する方は、“セントラルキッチン”の導入を検討してみましょう。
これを導入することにより、従来の飲食店とはまったく異なる経営体制を確立することができます。
今回は、セントラルキッチンの概要とメリット・デメリットについて解説しますので、興味がある経営者の方はぜひご覧ください。


○セントラルキッチンの概要

 

複数の店舗を構える飲食店が設ける、一ヶ所で集中して調理をするための施設を“セントラルキッチン”といいます。
これを導入した場合、店舗で調理したものを提供するというシステムではなく、別の場所である程度調理したものが、店舗に配送されるという形になります。
皆さんの身近なもので言えば、学校の給食センターのようなイメージです。

 

○セントラルキッチン導入のメリット

 

飲食店がセントラルキッチンを導入することのメリットは、主に以下の通りです。

 

・コストを削減できる
通常、複数の店舗を経営する場合、各店でそれぞれ材料の発注を行います。
一方、セントラルキッチンを導入すれば、1つの施設で複数店舗分の材料を大量に仕入れることになるため、その分仕入れ値は少なくなります。
また、料理がある程度出来上がった状態で店舗に届くため、その後の調理にほとんど手間はかかりません。
よって、労働時間あるいは人件費のカットにも繋がります。

 

・店舗による味の違いを減らせる
飲食店がセントラルキッチンを導入すれば、店舗による味の違いを極力減らせます。
店舗で1から調理する場合、まったく同じメニューであっても、多少は味の違いが生まれてしまうものです。
ただ、ほとんど調理済みのものを焼いたり、煮込んだりするだけのシステムを確立すれば、特定の店舗だけ売上が上がったり落ちたりする可能性は下がります。

 

・企業秘密が漏えいしにくい
飲食店がセントラルキッチンを導入すれば、企業秘密が漏えいしにくくなります。
なぜなら、一ヶ所でまとめて調理することにより、多くの従業員に調理工程が伝わらなくなるからです。
これは、代えがきかない料理を看板メニューとしている飲食店にとって、非常に大きなメリットと言えます。

 

○セントラルキッチン導入のデメリット

 

これだけ優れた特徴を持つセントラルキッチンですが、もちろんデメリットもあります。
具体的には以下の通りです。

 

・食材の廃棄が出やすい
セントラルキッチンを導入する場合、店舗でオーダーが入ってから調理するわけではなく、前もって大量の食材を使用し、料理が作られることになります。
よって、どれくらい作るべきなのかを正確に判断しないと、食材の廃棄が大量に出てしまいます。

 

・出来立て感が減る
例えば、店舗でお肉を挽くところから作られたハンバーグと、セントラルキッチンで一度冷凍し、店舗で解凍されたハンバーグを比べると、どうしても後者の方が出来立て感は弱くなってしまいます。

 

・コロナ感染リスクが大きい
飲食店がセントラルキッチンを導入することのデメリットには、“コロナ感染リスクが大きい”ということも挙げられます。
店舗ごとに調理をする場合、その店舗でコロナ感染者が出ても、基本的には当該店舗のみが営業停止となります。
一方、セントラルキッチンでコロナ感染が発覚すると、すべての店舗が営業停止に可能性があります。
なぜなら、セントラルキッチンは配送などを行う際、すべての店舗と接触することになるからです。
また、同じような理論で、食中毒が発生した場合のリスクも高くなります。

 

○まとめ

 

ここまで、飲食店がセントラルキッチンを導入することのメリット・デメリットを中心に解説してきました。
今まで一度も導入を検討したことがないという経営者の方は、本記事の内容を考慮した上で、選択肢になるかどうかを判断してみてください。
また、その際には各店舗の代表者同士で会議し、意見交換することをおすすめします。