入居者が転貸をしていた場合、店舗管理会社

2023年02月27日

考える

店舗管理会社は、入居者とのさまざまなトラブルに遭遇する可能性があります。
その1つが、今回解説する“転貸”です。
では、入居者が勝手にテナントを転貸していた場合、店舗管理会社はどう対応すれば良いのでしょうか?
転貸の概要とあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

転貸って何?

 

入居者が、店舗管理会社やオーナーから借りているテナントを第三者に貸し出すことを転貸といいます。
無断転貸や又貸しとも呼ばれます。
賃貸借契約は、オーナーと入居者との間で結ばれている契約であり、オーナーは第三者がテナントを利用することを想定していません。
そのため、勝手に転貸が行われた時点で、それは契約違反となります。

 

転貸を許可してはいけない理由について

 

店舗管理会社が入居者の転貸を許可してはいけない理由は、以下の3つです。

・法律で定められているから
・信頼関係が崩れるから
・第三者が問題を起こす可能性があるから

 

法律で定められているから

 

テナントなどの賃貸物件における転貸は、そもそも民法で禁止されています。
具体的には、オーナーの許可を取らず、勝手に第三者に賃貸物件を貸し出すことが禁止行為にあたります。
そのため、賃貸借契約書の中に、“許可なく転貸することを禁止する”という記載がなかったとしても、絶対に転貸を許可してはいけません。

 

信頼関係が崩れるから

 

テナントの入居者が勝手に転貸をすると、オーナーや店舗管理会社の信頼を裏切ることになり、必然的に関係は悪くなります。
店舗管理会社からしても、そのような入居者へのサポートにおけるモチベーションが下がってしまうため、決して転貸を許してはいけません。

 

第三者が問題を起こす可能性があるから

 

入居者が無断で転貸を行った場合、新たな借り手である第三者が何かしらの問題を起こす可能性もあります。
例えば、共用部分のものを破損させたり、ゴミを不法に投棄したりといった問題です。
また、これらの問題の責任に関しては、すべて契約者が負うことになります。
つまり、店舗管理会社は、直接的に問題を起こしたわけではない入居者に対し、損害賠償などの責任を追及しなければいけないということです。
もちろん、このようなトラブルが発生すると、関係が悪くなったり、トラブルの内容が複雑になったりすることも考えられます。

 

転貸にはどう対応すべき?

 

店舗管理会社は、入居者の勝手な転貸が発覚した場合、契約の解除を求めることが可能です。
こちらは、民法において定められているルールであり、たとえ契約書内で転貸を禁止するという記載がなかったとしても、入居者に退去を求めることができます。
また、勝手な転貸は、オーナーや店舗管理会社と入居者の信頼関係を壊すものであるため、場合によっては違約金を請求することも可能です。

 

確実に契約を解除するには?

 

先ほど、入居者の勝手な転貸は、オーナーや店舗管理会社と入居者の信頼関係を壊すものであると説明しました。
ただし、必ずしも転貸が信頼関係の破壊とは認められない場合もあります。
その場合、店舗管理会社は契約を解除することが難しいため、もし転貸が発覚したのであれば、早急に法律のプロフェッショナルである弁護士に相談することをおすすめします。
むしろ、転貸が発覚してからではなく、疑わしいという段階から相談しておくべきです。
そうすることで、契約解除の流れやタイミングなどについて、的確なアドバイスがもらえるため、適切に対応できる可能性が高くなります。
ちなみに、転貸が疑われる入居者には、以下のような特徴があります。

・契約者以外の人物が頻繁に出入りしている
・営業時間を超えてもずっと灯りがついている
・定休日がない(定休日に別の店舗を経営している可能性がある) など

契約者以外の人物が頻繁にテナントを出入りしていたり、営業時間外(深夜、早朝など)でも灯りがついていたりする場合、入居者からさらに転貸された第三者が別の店舗を経営していたり、住居として使用していたりする可能性があります。

 

転貸禁止は必ず契約書に記載しよう

 

勝手な転貸は原則禁止されている行為ですが、禁止されていることを知らずに行ってしまう入居者も少なからず存在します。
そのため、店舗管理会社は、賃貸借契約書に必ず転貸を禁止する旨を盛り込み、「転貸は禁止行為である」ということを入居者に前もって理解してもらうようにしましょう。
このような記載がある限り、入居者の「知らなかった」は通用しません。
もし不安なのであれば、入居者との契約時、重要事項として転貸禁止の旨を説明することをおすすめします。

 

まとめ

 

ここまで、入居者の勝手な転貸における、店舗管理会社の対応について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
テナントを転貸されると、店舗管理会社はトラブルが発生したときに対応しづらくなります。
なぜなら、本来店舗管理会社とオーナー側、入居者側だけが関与するトラブルのはずが、そこにもう1人関与することになるからです。
オーナーのためにも、このような違反行為は徹底的に排除しなければいけません。